果樹登録品種の保護と普及(果種協の役割)

新品種の登録と普及

種苗法に基づく果樹新品種登録

  • 昭和53年(1978)の種苗法制定以来、民間や公設試験研究機関などで育成された多くの農林水産植物の品種が種苗法に基づいて登録出願公表、品種登録され、その中で果樹は1,531品種(2022年3月現在)登録されています。
  • 育成者別では、民間(個人、法人)が圧倒的に多く約60%を占め、次いで、都道府県の公立試験研究機関、国立研究開発法人(農研機構)、大学の順となっています。
  • 全作物又は食用作物、果樹、野菜など植物区分ごとの種苗法に基づく品種登録の傾向や推移などについては農林水産省品種登録ホームページの統計資料(品種登録の状況及び登録品種一覧、http://www.hinsyu.maff.go.jp/tokei/tokei.html)で容易に調べることができます。

 

登録果樹登録品種の円滑な普及

 果種協は、育成者権者から登録品種の利用許諾を受け、さらに会員(種苗業者等)と許諾契約を締結し、全国的に確かな品種の迅速で公正な種苗の生産流通を促進し、果樹農業の振興に寄与するため、業務を推進しています。農研機構果樹研究所、長崎県、東京都等で育成・出願した新品種については、果種協は出願が公表された品種ごとに育成機関と通常利用権許諾契約(果種協会員との通常利用権の設定が可能)を締結し、さらにその種苗の生産販売を希望する会員等との間で通常利用権許諾契約を結んだ後に育成機関で採取した穂木(複生母樹用)を譲渡し、普及促進を図っています。
一方、民間の育成登録品種については、優良な新品種の迅速で公正な普及を図るため、果種協は育成者権者の依頼により育成者権者と会員(種苗業者)との許諾契約締結を支援しています。

 

出願公表、登録品種等の果種協発行「証紙」と表示

苗木貼付の「証紙」

 種苗法を遵守した健全な果樹種苗の生産・流通などの改善を促進し、果樹生産者など購入者が安心で確実な果樹苗木を入手できる環境を整えるため、果種協は利用許諾実施者(種苗業者、農協等)との通常利用権許諾契約等において、種苗業者は利用許諾品種の苗木を譲渡・販売する場合には、果種協が発行・販売する「証紙」を苗木1本ごとに貼付することを義務づけています。

◆ 「証紙」の種類

 果種協が発行する「証紙」には以下の5種類があります。

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◆ 「証紙」の意義(意味)

  • 種苗法に基づいて登録又は出願公表された、育成者権者の権利が及んでいる品種であること
  • 果種協を通じ、種苗法の下で正規に育成者権者(農研機構など)から許諾を受けて譲渡された穂木から生産された確かな苗木であること
  • ウイルスなどに感染していない母樹から穂木を採って作られた健全な苗木であること(許諾契約等に従って品種名の管理や母樹のウイルス検定を実施していることが前提)

 「証紙」は、これらのことを証明するものです。なお、「証紙」の苗木への貼付は、果種協が利用許諾契約実施者(種苗業者、農協等)と交わした通常利用権許諾契約書において義務づけられており、仮にこの規定に違反したときは許諾契約を取り消され、許諾実施者はその品種を利用(生産・販売など)できなくなる可能性があります。
このシステムは、「確かな品種と健全な苗木」を支えるものとして、果種協会員のみならず、果樹種苗生産者、販売関係者、果樹生産者、利用者などにも理解され、果樹苗木の生産・流通・販売・利用において定着しつつあります。
また、都道府県など地方公共団体や民間育種家等で育成された登録品種においても、各々独自の「証紙」が使用されていることが少なくありません。

登録品種表示マーク(PVPマーク)

    • PVPはPlant Variety Protection(植物品種保護)の略で、「ピーヴィピーマーク」と呼びます。
  • 平成17年(2005)に、種苗関係4団体[(社)日本種苗協会、(社)日本果樹種苗協会、(社)日本草地畜産種子協会、(社)農林水産先端技術産業振興センター]は、わが国の植物品種保護制度及び植物品種育成者権に関する正しい理解と普及啓発及び育成者権の侵害を未然に防止することを目的にPVPマークを作成し、団体商標登録をしました。
  • 種苗法の改正に伴い2021年4月1日から、PVPマークは、わが国の種苗法に基づき保護されている「登録品種」であることを示すものとなりました。それらの種苗、その種苗から得られた収穫物、政令で定める加工品について、種子袋、セルラベル、カタログ、パンフレット、段ボール箱、インターネットでの表示等に利用されます。
  • PVPマークは、図に示しました4タイプなどから自由に選び、色や大きさは自由に変更できます。
  • 表示スペースがある場合には、種苗法登録品種の明確化と育成者権に関する理解・啓発を図るため、品種名にPVPマークを付記し、併せて登録年や育成者権者名、種苗法遵守などを記すことを推奨しています。

   【PVPマークの使用方法】

  農林水産省のホームページ(種苗法の改正について:農林水産省 (maff.go.jp)の関連資料の部分をご参照ください。