果樹苗木を生産・販売するには


指定種苗とは

 農林水産省では、種苗は、外観からのみでは品種、発芽率等の品質の識別が困難であることから、種苗の流通の適正化を図ることを目的に、指定種苗制度を制定しています。
 種苗法では、種苗(林業用の樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定める葉、芽であって品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして、農林水産大臣が指定しているものを「指定種苗」といいます。

 果樹類では、表に示した種類の果樹の苗木や穂木が指定種苗とされています。

 種苗の形態 果樹の種類 
 苗木・穂木 うめ、あんず、もも、おうとう(かんかおうとう、さんかおうとう、ちゅうごくおうとに限る)、なし、りんご、びわ、かき、かんきつ、キウイフルーツ、くり、 くるみ、ぶどう、いちじく
種苗業者になるには

 果樹の苗木を生産又は販売している人は種苗業者になり、さらに、種苗会社、JAなど、卸売業者に販売している場合には以下の事項を含む種苗業者届出書を農林水産大臣に提出する必要があります。

  • 氏名及び住所(法人の場合には名称及び代表者の氏名)
  • 取り扱う指定種苗の種類(野菜、果樹、花き等の作物区分)
  • 営業所の所在地

 種苗業者届出書の様式等、詳細な手続きは「果樹における種苗法ハンドブック」(日本果樹種苗協会 発行)、農林水産省品種登録ホームページ(http://www.hinsyu.maff.go.jp)を参照して下さい。


苗木の表示

 指定種苗である15種類の果樹を苗木を販売する場合には、オウトウの苗木は3年生まで、その他の樹種は2年生まで表示が必要です。


種苗業者の届出義務と表示義務

 区分 定義  種苗業者  販売先  表示義務  届出 義務
種苗
業者  
指定種苗の販売を業とする者    卸売業者
(種苗会社、JA、指定種苗生産農家等)
 種苗業者
  
 有
 小売専業者
(スーパー、ホームセンター等)
JA等
指定種苗生産農家等
 種苗業者以外の者
(農家、一般家庭用等)
無 
 都道府県  指定なし

 なお、届出義務がある種苗業者であるにもかかわらず届出をしない業者又は虚偽の内容の届出をした業者は、30万円以下の罰金刑に処せられますので、ご注意下さい。

苗木生産など種苗の利用とは

 「種苗法」に基づいて品種登録された場合、登録品種の利用に関する権利を排他的に独占することができる権利(育成者権:知的財産権の一つ)が育成者に与えられます。育成者権が与えられた人を育成者権者といいます。そして、育成者権者以外の人がその登録品種に関して種苗の生産・販売など下の表に示したようなことをする場合には、育成者権者の許諾が不可欠です。
 種苗法に定義されている「登録品種の利用」のうち、種苗に関する項目を表に示しました。

登録品種の「利用」とは

生産
 種苗を生産すること、収穫物(枝など)を種苗に転用すること
調整  夾雑物の除去、精選、種子の洗浄、乾燥、薬剤処理、コーティング
譲渡の申し出  店頭に品種名等を提示すること、カタログを配布して注文を受けられるようにすること
譲渡  有償、無償に係わらず、種苗の所有権を移転すること
輸出  種苗を国外に向け送り出すこと
輸入  外国にある種苗を国内に搬入すること
保管  以上の行為をする目的での保管 
苗木の生産とは

 育成者権者から第三者に与えられる利用許諾には次の2つがありますが、詳細については「果樹における種苗法ハンドブック」(日本果樹種苗協会 発行)、農林水産省品種登録ホームページ(http://www.hinsyu.maff.go.jp)を参照して下さい。

専用利用権

 契約などで定めた範囲内(登録品種の利用についての時間、地域、内容その他の範囲)において、独占的に、業として登録品種等を利用することができる権利をいいます(契約内容の例:東京都において、5年間、登録品種の種苗の生産・販売を専有する)。


通常利用権

 登録品種を法又は契約などで定めた範囲内において利用することができる権利で、育成者権者又は専用利用権者との許諾契約により効力が生じます。ただし、排他的な独占権が与えられるわけではなく、第三者が当該登録品種を無断利用した場合でも、利用行為の差し止めや損害賠償の請求をすることはできません。一方、育成者権者は、通常利用権の設定後も自ら登録品種等を利用でき、また、複数の者と通常利用権に関する契約を結ぶこともできます。